伊丹再発見シリーズ -修武館となぎなた-
 
1.日本の3大私塾道場といえば。。。。
 
日本にある武道の三大私設道場といえば千葉の「本間道場」、水戸の「東武館」とともに伊丹市西台3丁目にある「修武館」であります。 
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 「修武館」という名称の道場はネット検索すれば日本全国津々浦々にたくさん見つけることができますが、伊丹市にある「修武館」は創設以来200年以上(天明6年 1786)の伝統をもつ道場でその運営は伊丹市で酒造業として450年以上の伝統をもつ小西家によって運営されてきました。
 この道場では、初代館長以来、代々「生活即武道」の精神を受け継ぎ、それは、小西家の伝統的な行動規範を形成しており、いわば、小西家のバックボーンでもあります。

2.天領地であった伊丹の町
 JR伊丹駅前にある有岡城跡
(リンク)は織田信長に仕えた戦国武将荒木村重が1574(天正2)年に有岡城に入り当時では珍しい惣構え(町並み全体が城の護りとなる。)の城を完成させましたが、1578(同6)年信長に反旗を翻したため攻められ落城しました。
 しかし、その後も旧城下町は幕府直轄の天領でもなく大名が支配する藩領でもない、公家(近衛家)の領地で、同じ封建時代の中にありながらも独特の治世が行われてきました。 ちなみに現在の伊丹市章は近衛家の家紋を使っています。

3.伊丹郷町と修武館
 伊丹は清酒発祥の地であり、それは市内北部の鴻池
(こうのいけ)村で戦国武将山中鹿之介の長男幸元が天正時代(1578年)に酒造業をはじめた伝説の稲荷碑があります。
 ともかく史実としては当時江戸にあっては大阪の方から来る酒(伊丹酒)は下り酒と言われて江戸では最上酒としてもてはやされていたことは事実であります。 
伊丹郷町
 伊丹とその近隣11村を併せて、いわゆる伊丹郷町が近衛家領となったのが寛文元年 (1661)。近衛家に保護される形で酒造業が栄えました。盛時には80軒近い酒造家が軒を並べました。現在の伊丹市章も近衛家の家紋を使っています。 伊丹郷町のなかでは単に清酒だけではなく、酒づくりにかかわる種々の産業、米屋・桶屋・樽屋・竹屋・柿渋屋、蔵働人、またその人たちの食事の賄い、蔵の修理、それからアルバイトに米踏みに行くとか、縄をつくるとかで収入を得る近隣の農家の人たちもいますし、その経済効果は非常に大きく、周辺にも広くおよんでいます。
 町人を主体とする郷町で政治をつかさどるのが惣宿老で、その下に町庄屋、そして町々の年寄、村々の庄屋・年寄があり、酒造業においては酒造年行司が置かれています。この惣宿老制は、近衛家が寛文元年(1661)伊丹の領主となってしばらくして、元禄十年(1697)に制度化されました。
 その惣宿老の役目は伊丹の酒造家に仰せつけられることになった。小西家の四考 (4代)霜巴(そうは)もその1人として帯刀を許されています。その後、小西家は代々その職に付くことになりました。
 その当時の伊丹の繁栄は相当なものであったらしい。丹醸 (伊丹の酒)の町として有名であっただけでなく諸国から井原西鶴、西山宗因、頼山陽、松尾芭蕉、近松門左衛門など文人墨客がこの地を訪れています。
 そして小西家の当主が朝巴(ちょうは) (7考)のとき、ただ1人で伊丹郷町の惣宿老を勤めることになりました。政治や経済ばかりでなく、治安を守る責任も重くのしかかってきました。もとより、公家の領地だから、武士の統治するところではない。

 そこで朝巴は、伊丹郷町の自衛のためにと、天明6年 (1786)、領主の近衛家に私設道場の設立を願い出ました。これが今日の修武館の由来であります。

昭和17年 (1942) 修武館が正式に財団法人として認可されています。


4.やっかい長屋と修武館
 また小西酒造株式会社のFujiyama-netホームページには「やっかい長屋」というページがありましたが、「修武館沿革」によると「明治維新後、武術の衰微により、多年に亘り武道を以て師表に立ちたる人々が悲境にありし時、これらの人々を扶養援助するとともに明治7年揚武会を起し、剣術のほか柔術・薙刀・槍術・杖術・水泳ならびに漢学者を招いて一般子弟の教育を図った。」と記録されているそうです。

 明治初期には武者修行の有名剣客が「やっかい長屋」に逗留して稽古する。その逗留先がやっかい長屋でありました。小西家第11代当主(新右衛門業茂)は武道の奨励に熱心で「やっかい長屋」の建設だけでなく明治18年には揚武会を改め修武館となり初代館長となっています。

(左の写真が現存していたやっかい長屋)

 明治9年に廃刀令が出て竹刀の音をたてるのさえ世にはばかるという時代に伊丹の小西家ではおおっぴらに各種武道の先生がたを招いて稽古をしていました。 詳しくは下記の参考ページに記載されています。

 バブル経済の頃は企業のフィランソロピーとかメセナなど一時は企業の社会貢献や文化活動支援などの公的責任論が盛んに叫ばれた時期がありましたが、それはあくまで当然の事として、景気が良い時の企業イメージ・広告戦略の一つとしてされてきたのではなかったでしょうか。
 ともかく小西家は、はるか以前に郷町での惣宿老として行政機能はじめ郷町の治安秩序維持での武道の奨励から修武館の設立、また剣術者のための「やっかい長屋」など時代を超えて営々と地域社会へ貢献して来られました。
 今の伊丹の文化基盤を築き、そして伊丹の発展に大いに貢献されたて創業450年以上の歴史があるこのような企業が、我が町伊丹に今もある。ということは「酒都-伊丹」だけでなく「修武館」もまた市民の誇りであります。 兵庫国体での「なぎなた競技」が当地で開催されることは、なんとすばらしいことでしょう。

5.修武館と薙刀
 
修武館は日本の薙刀伝承のルーツ的な存在というべきか、その普及に大きく貢献しています。
 
修武館には「天道流兵法」が伝承されていることです。 これは、東の「直心影流」、西の「天道流」といわれるなぎなたの二大流派の一つです。 
 
この二大流派が主体となって、昭和30年に全日本なぎなた連盟が結成されたのです。
 明治18年、修武館初代館長小西業茂氏は、なぎなた師範に天道流第14代宗家美田村顕教氏を招聘し、 斯道の普及顕彰に努めてきました。 

  (参考資料:天道流の歴史-PDFファイル。要AcrobatReader)
 
    第11代 新右業茂(ギョウモ)        伊丹市立伊丹高校なぎなた部

  大正5年美田村顕教氏亡き後、15代宗家美田村千代氏をなぎなた師範に、その夫君美田村邦彦氏を剣道師範に招聘しました。
昭和46年には、美田村武子氏が16代宗家を継承され、誠の心と技を連綿と伝承されております。
 薙刀に限らず様々な剣術を伝承していくことはたやすいことではありません。これまでに廃れていった武術や伝統技能など多々あるなかで「天道流」が継承され、また薙刀の普及には修武館が大きな役割を果たしています。

(参考文献)
  
・伊丹歴史探訪(小西酒造株式会社創業450周年記念) 
  ・フジヤマネット  http://www.konishi.co.jp/html/fujiyama/index.html
  ・同ネット内、伊丹「修武館」二百年の歴史をいまだに維持する話
  小西酒造(株)会長 小西新右衞門夫人 故 小西静子 前薙刀連盟会長談
   http://www.konishi.co.jp/html/fujiyama/index.html
   月刊「剣道日本」誌。 スキージャーナル社。

6.2006年「のじぎく兵庫国体」について

  2006年9月30日~10月10日に開催されます「のじぎく兵庫国体」は、夏季及び秋季大会が一本化される初の大会となります。開催予定会場となる県下各市町では現在その準備をすすめています。
 「国民体育大会」は国民の各層を対象とした我が国最大の体育・スポーツの祭典です。
1暦年の間に冬季大会(1~2月)・夏季大会(9月)・秋季大会(10月)の順で、毎年全国の都道府県持ち回りで開催されます(夏季・秋季大会は原則として同一都道府県で開催)
 県下各地で開催される正式競技種目は37競技、公開競技3競技。正式競技・公開競技の他に、ニュースポーツなど正式な公開競技に選択されない競技で、誰もが気軽に参加できるスポーツイベントである「デモンストレーションとしてのスポーツ行事」 が行われます。

*なぎなた競技と伊丹市

 
伊丹市で開催される競技は「なぎなた」です。現在伊丹スポーツセンターで開催予定されておりその準備が進んでいます。前年には本番同様のプレ大会も予定されています。
 
なぜ伊丹市で兵庫国体で「なぎなた」競技が開催されるのかと言えば、ご存知でしょうか。
 
その理由は、多くのスポーツ団体等の本部は東京など大都市にあるのですが、なんと「全日本なぎなた連盟」の本部は伊丹市の
「修武館」にあります。
 なぎなた競技は昭和58年群馬県で開催された第38回国民体育大会秋季大会に正式種目として行なわれています。

 
全日本なぎなた連盟のページ
 
全日本なぎなた連盟は昭和30年発足しその連盟の礎を築かれた初代理事長は小西静子女史であり、河盛敬子女史がその後を継がれました。なぎなた連盟の設立は修武館が大いに貢献しています。 そのような理由で兵庫国体の開催競技種目について、全日本なぎなた連盟本部のある伊丹市で開催が予定されています。
 余談になりますが、 昭和39年に「薙刀」の漢字表記が「なぎなた」と変更する決定がされています。市立伊丹高校はじめ「なぎなた」が活発な学校もありその活躍が大いに期待できそうです。
 
(参考)阪神間各地の国体開催予定競技

尼崎市   
水泳 競泳 シンクロナイズドスイミング 体操 競技 軟式野球 一般A 少林寺拳法 スポーツ芸術
西宮市  
 ボクシング 全種別 体操 新体操 セーリング 全種別 日本拳法 ティボール スポーツ芸術
芦屋市  
 ライフル射撃 CPM カヌー フラットウォーター  スポーツ芸術
伊丹市   
なぎなた 全種別 武術太極拳 ビリヤード スポーツ芸術
宝塚市   
バドミントン 全種別 ゴルフ 全種別
川西市  
弓道 全種別
三田市 
 ハンドボール 成年女子 軟式野球 成年 スポーツ芸術 猪名川町 レスリング 全種別 ペタンク

※スポーツ芸術。。。舞台芸術、展覧会など、全国から国体に参加する選手、役員、観客に向けて開催県の多彩な魅力を紹介する催しです。
  
追記 第47回都道府県対抗なぎなた大会の競技結果
      第62回国民体育大会(秋田わか杉国体)

        なぎなた競技リハーサル大会
        大会日時 平成18年5月27日(土)・28日(日)
        〃 会場 秋田県 大仙市大曲体育館
兵庫県選手団が総合成績第1位となりました。 いよいよ今年10月に向けてぜひ地元兵庫県代表選手の活躍を期待したいものです。

監 督  高橋 登子(県立伊丹高等学校教諭)
     
  選 手  試合競技  優   勝
         大 将  山口 由美 (大王電機株式会社)
         副 将  河本 加奈子(市立荻野小学校)
         中 堅  中平 美佐 (伊丹市役所)
         次 鋒  貴島 政英 (市立伊丹養護学校)
         先 鋒  清水 真由美(小西酒造株式会社)

    
    演技競技  優   勝
           打    山口 由美 (大王電機株式会社)
           仕    中平 美佐 (伊丹市役所)