| 伊丹再発見シリーズ -JR伊丹駅前のカリヨン− 伊丹市は1985年に国際姉妹都市提携先をベルギー国ハッセルト市と結びました。その後両市友好のシンボルとして市制施行50周年にあたる1990年に姉妹都市ハッセルト市から贈られた「フ ランドルの鐘」(カリヨン塔)がJR伊丹駅前にあります。カリヨン(Carillon)とはメロディーを演奏する「「組み鐘」のことで、異なる音色をもった鐘を数十個組み合わせた演奏装置です。 CARILLONはフランス語と英語の普通名詞で発音はカリオンでなくカリヨンに近い発音になります。ドイツ語ではGlockenspiel(グロッケンシュピール)となります。 その起源は、ヨーロッパの国々とくにオランダ、ベルギーなどフランドル地方で時刻を知らせるため教会や高い塔に鐘が設置されました。 14世紀末ごろに大鐘が鳴ることを知らせる「前打ち」と呼ばれる小さな鐘が付け加えられました。日本の寺院の鐘と違って、この大きな鐘と小さな鐘の組み合わせがカリヨンの起源で、15世紀から16世紀にかけて前打ちの鐘の個数が徐々に増え前奏曲が奏でられるようになりました。 17世紀には全盛期を迎えましたが、19世紀には機械式時計が発達し衰退していきました。しかし20世紀になってカリヨンの魅力が見直され、鋳造、調律技術、奏者の育成がはかられ現在に至っています。 日本でも1970年の大阪万博のオランダ館でカリヨン28鐘が紹介されて以来、各地で設置されるようになりました。 今ではカリヨン演奏者の育成やカリヨンの普及を目的としている世界的な団体、世界カリヨン連盟(WCFーWorld Carillon Federation)も設立されています。 またGCNA(北米カリヨン連盟)の資料では伝統的なカ リヨンは北米(カナダ・米国・メキシコ)で173基、米国内だけで165基もあります。 ほとんどのカリヨンの設置場所は教会や大学キャンパスです。またこのサイトはカリヨンについて非常に詳しく解説されています。 、特にカリヨンに関する用語解説やイベント案内などが詳しくされており例えば、Traditional Carillon(伝統的なカリヨン)とNon-traditional Carillon の違いや一般的なチャイムなどの説明などカリヨンについてさらに認識を深める上でこのサイトは一読に値します。 多くの伊丹市民に知っていただきたいのは世界カリヨン連盟が紹介している日本にあるカリヨンは伊丹を含めて3ヶ所だけです。 もちろんこのサイトでは各国毎に分類され、ベルギー国のページにはハッセルト市も紹介されています。 姉妹都市であるハッセルト市にもカリヨン(52鐘組)があり、特産品のジェネーバ(ジン酒)とともに町のシンボルとして市民に親しまれております。また中心市街地にはカリヨン博物館まであります。 世界カリヨン連盟(WCF)のホームページでWORLD-LIST OF CARILLONS欄のアジアのところには日本、韓国、イスラエルが紹介されております。 その中でNIPPONと表記されている欄には以下の記載があります。 CITY TOWER CARILLON NAME BELLS PROVINCE/STATE Itami The Bells of Flanders 43 Hyogo Sasebo Huis ten Bosch Carillon Symphonica 37 Nagasaki Shigaraki Shinji Shumeikai -Misono The Joy of Angels 50 Shiga というわけで覚えておきたいのは、日本でのモニュメント設置型で正式にカリヨンと呼ばれるものは国内で設置された年代順では我が伊丹市の「フランドルの鐘」そして続いて佐世保のハウステンボスにある「カロヨンシンフォニカ」(なぜかカロヨンと誤表現されている。)そして滋賀県にある宗教団体、神慈秀明会本部に設置されている「The Joy of Angels」の3ヶ所だけです。 いま全国の公園や駅などカリヨン広場と称して公共場所のモニュメントとしてカリヨンを設置されているところが増えています。身近なところでは阪急西宮北口駅構内、JR明石駅前、猪名川町の日生中央、淡路島カリヨン広場などがあります。 なぜ全国津々浦々にある多くのカリヨンは紹介されていないのでしょうか? それはカリヨンの定義として音色の音域が2オクターブ以上(鐘の数にして23個以上)の音が表現できる鐘の組み合わせをカリヨンとして定められているからです。 北米カリヨン連盟のページには以下の説明があります。 (引用参考:GCNAの”What is a Carillon?”のページ。(クリック))
![]() それでは鐘の数が必要な2オクターブ(23鐘)に満たない小規模のものはどのような表現がされるのでしょうか。 このGCNAのページでの定義に従えばそれらはカリヨンではくて単なる”チャイム”という表現がされています。 (左の図はGCNAのページより引用。) だから国内の多くの市町村や公共施設などでカリヨン広場と称して設置されているものは正しく言えば大半がチャイムなのです。(それぞれの名称としてつけられているので厳密にチャイムという呼称にすべきだ。とこだわる必要などまったくないのですが。)知識として覚えておきたいことは、本物志向を語る上で、世界中で通用する正式なカリヨンというのはハーモニーに必要な低音域で必要とされる口径の大きな鐘も備えて、人手によるキーボードから演奏でき、かつ一定の音域が出せる。これらの要件を備えているものをカリヨンと言うのであります。国内各地の全国津々浦々には今では100ヶ所以上もあるといわれる多くのカリヨンと称されるモニュメントや時計塔は、中には鐘が40個を上回る大規模のものもありますが、これらほとんどが機械での自動演奏専用であり、正式なカリヨンの定義からは似て非なるものです。 日本各地にあるカリヨンは楽器機能よりもむしろ記念碑や屋外オブジェなど造形の美を主眼にして作られた「見せるカリヨン」であるのに対して、カリヨン発祥のヨーロッパ各地や米国内にあるカリヨンは本来の楽器として人が演奏して音楽表現ができる「聞かせるカリヨン」です。 伊丹市のカリヨンは友好のシンボルとしての「見せるカリヨン」 であるよりむしろ伊丹市民が誇りとすべきところは日本国内において、唯一公共的な広場に設置されている伝統的な本来の「聞かせるカリヨン」の機能を併せもっています。ちなみに楽器としてキーボードで演奏できる大阪市のインテックス見本市会場にあるベイヤード・カリヨン(37鐘)はどうでしょうか。 もちろんこれも正式に世界カリヨン連盟のページにおいて移動式カリヨン(Travelling carillons)に分類されております。なぜか移動式カリヨンはタワー型の国別カリヨン設置台数の分類上からは除外され別途紹介されています。 平成13年6月3日には現WCF(世界カリヨン連盟)の会長であるアイルランド人のへブリュース氏(右上の写真は伊丹での演奏風景。)が来日される機会があり、その際に伊丹市国際交流協会の主催によりカリヨンコンサートが開催されました。駅前広場で「フランドルの鐘」を使ってご自身が直接ライブ演奏されベルギー国総領事はじめ多くの聴衆が豪快なカリオンの演奏を楽しみました。 ご存知ですか?−なんと日本全国各地の公共場所にあるモニュメント等としてカリヨンが設置されているもののうち、本来の伝統的なカリヨン機能をもったものは全国で「フランドルの鐘」のみです。このことは伊丹市民よりもむしろカリヨン愛好者など国内外で知られています。 (左の記事は伊丹市国際交流協会機関紙Friendship No.19.2003.5より引用。).ちなみに伊丹市に寄贈されたカリヨンは世界的なカリヨンメーカーで有名なベルギーのクロコマチック(Clock-0-Matic)社製の43鐘組み合わせによるもので、同社製の専用のマイクロプロセッサーによる時刻制御ユニット(Appolo)と演奏機能としてMIDI音楽制御機能による自動演奏の仕様になっています。 (但し自動で演奏できる音域範囲は26鐘) 日本ではcarillonneur(正式にカリヨンの演奏技法を履修した者)と呼べる方はまだ5名程度と言われていますので、通常カリヨン演奏を楽しむためには当然ですが自動演奏装置が必要となります。 竣工当時このカリヨン塔の命名にあたり、市民からの愛称募集が行なわれ、姉妹都市ハッセルトはオランダに接するフランドル地域−Flanders(フランダース)にちなんで最終的に「フランドルの鐘」に決定されました。 設置工事にあたっては鐘の据付やコンピューターの調整のためにわざわざベルギーから姉妹都市のハッセルト市職員とメーカーの技師が立会って設置工事の共同作業を行ないました。 ”伊丹市のカリヨンは公共場所にある日本最大規模のものである。” 伊丹にあるもの”オンリー・ワン”としてこのカリヨンの存在が伊丹市民の誇りとなって多くの市民に親しまれてほしいものです。 追記:毎日3回 フランドルの鐘で自動演奏される曲目
追記 戦後60周年の節目に平和祈念のカリヨンコンサートを開催 2005年8月15日、4年ぶりに市内外から約250人が訪れ、夏空に響き渡る澄んだ音色に聞き入りました。 今回は戦後60年の節目に平和祈念し、今年4月に起きたJR福知山線脱線事故の犠牲者を追悼する主旨で、伊丹市や伊丹ユネスコ協会などでつくる「平和の鐘」事業実行委員会が主催し、伊丹市の姉妹都市ハッセルト市のあるベルギーフランドル地域で関係が深いフランドル交流センターの協力をいただき開催されました。 この日は、黙祷を行った後、コンサートがはじまりました。ベルギー人の父と日本人の母をもつ、カリヨン演奏家、ソフィー・ヘーレマンスさん(30)がカリヨン塔上部にある演奏室に入り、ベルギーの鎮魂歌「ラメント」のほか「ムーンライトセレナーデ」や「荒城の月」など計15曲を約1時間にわたって演奏されました。 聴衆はカリヨン塔周辺のベンチや広場に座るなどして、静かに澄んだ音色を楽しんでいました。今回はカリヨン塔と反対のJR伊丹駅東側に大型ショッピングセンターが出来ており歩道上の買物客もしばし足をとめて鐘の音に聞き惚れる方もおり、どちらかといえばヨーロッパの教会の大聖堂で時報を告げる大音量のカリヨンは本来は遠くで聞くものかも知れません。今回は実際近くで聞くよりも遠くから聞くほうがハーモニーや響きなどがうまく調和し柔らかい音に感じられました。 日 時 : 2006年8月15日(火)18:00〜 19:00 カリヨン奏者 : 石田さち子 : 大阪音楽大学ピアノ科卒業 1999年オランダカリヨン学校卒業 今野 尚子 : 武庫川女子大学音楽部 器楽学科ピアノ専攻卒業 1998年オランダカリヨン学校卒業 主 催 : 伊丹平和の鐘実行委員会 (伊丹ユネスコ協会・伊丹市平和都市推進協議会 ・伊丹市国際交流協会) *めずらしいライブでのカリヨン演奏をお楽しみください。 −詳しくは伊丹ユネスコ協会のページ参照。 |
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