伊丹再発見シリーズ -いたみの名物(1)−
 
 伊丹の名物といえば、「こぼれ梅」。古くから酒の町であり摂津の国伊丹は江戸時代直前から江戸中期にかけて酒の銘醸地として全盛を誇ったところです。

 この地が寛文6年(1666)に公家の近衛家領となったことがあります。近衛家は積極的に酒造業を保護育成し、文政7年(1824)には「大坂御用酒詰替所」という名称で、京都や大坂で、「御用酒」のお裾分けをするという名目で販売を実施して、江戸での販売減を補おうとしたそうで、その量はかなりのものとなっていたといわれています。

 
このように古くから酒づくりの伝統のある伊丹で生まれるのは酒の副産物である「酒粕」だけでなく、醸造業者のみりんのしぼり粕(かす)も生まれました。

「こぼれ梅」はみりんの絞り粕で、その芳じゅんな酒の香りとほのかな甘さが特徴。清酒醸造が盛んだった江戸後期の伊丹を中心に生産され、素朴な菓子としてもてはやされました。
今では
JR伊丹駅構内の観光物産ギャラリーほか、伊丹市内で数店の酒店で販売されています。伊丹ッ子なら話題として伊丹名物である「こぼれ梅」を一度は口にして味わってみてください。

 率直な意見として、実際に食べてみた個人的な感想になりますが、その味はちょっと甘い酒粕のようで、私には特に美味しいものとは思いませんでした。

 しかし伊丹市内の某レストランでは酒粕を使ったピザのメニューもあり、「こぼれ梅」もうまく食材レシピとして現在風に活用されれば独特の風味を生かしたすてがたいものになるかもしれません。

 ともかく正真正銘の自然食品であり、こぼれ梅の正体は味醂(みりん)の絞り粕そのものですから今盛んに言われるリサイクルや環境の点からも無駄のない再活用の食品で、甘いものが乏しかった時代の智恵を感じます。

 
とくに「伊丹名物のこぼれ梅」を有名にしているのは上方落語であり、落語のネタとして落語ファンの方なら実際どんなものか知らなくてもこの名前だけはご存知かと思います。今は亡くなられた伊丹出身の桂枝雀師匠の十八番の一つ落語「鷺とり」にも出てきます。

*いたみ招福講座開催中
(クリック)
 
桂枝雀師匠ゆかりの伊丹で5回シリーズで枝雀氏を偲び招福講座が予定
 されています
詳しく紹介されている田辺氏のページへ(クリック)

 落語の中では、たくさんの雀を採る方法として「こぼれ梅」を地面に撒いて餌として雀を集めておいて、それを食べた雀が酔っぱらってしまったころを見計らい南京豆を枕にして雀が眠ってしまう話です。 


 多くの上方落語が紹介されている上林氏の「世紀末亭」のページへ
(下記のURLをクリック)
  *鷺とりの内容紹介。